急にミスが増えたときは、自分を責める前に「いつから・何が変わったか」を確かめるのが先です。

前はできていた作業で、うっかりが続く。メールの宛先を間違える、数字を打ち間違える、頼まれたことを忘れる。「急にどうしたんだろう」と不安になりますよね。

ミスが「急に」増えたのなら、その前後で何かが変わっている可能性があります。この記事では、仕事・生活・心の3つの側から変化を切り分ける手順を紹介します。あわせて、今日からできる手当てと相談を考える目安を、厚生労働省の情報をもとに整理します。


結論:まず「いつから・何が変わったか」を確かめる

「急に増えた」と「ずっと多い」は分けて考える

ミスの悩みには、大きく2つの形があります。

  • ずっと多い:入社以来ミスが続いていて、慣れや仕組みで減らしたい
  • 急に増えた:前は問題なくできていたのに、ある時期から目立つようになった

前者は、経験の浅さや確認の仕組みが主な原因になりやすい形です。こちらの対策は仕事でミスばかりして落ち込む20代へで詳しくまとめています。

この記事が扱うのは後者です。前はできていたということは、あなたの能力が急に落ちたとは考えにくいです。それより、ミスが起きやすくなる条件のほうが変わったと考えるほうが自然です。

3つの側から順に確かめる

変化を探す場所は、次の3つです。

確かめる側 見るポイント 手当ての方向
仕事の側 業務量・担当・上司・中断の多さ 仕事の進め方と量を調整する
生活の側 睡眠時間・生活リズム・体調 睡眠と生活習慣を整える
心の側 気分の落ち込み・興味の低下が続いていないか 相談・受診を考える

横にスクロールできます

順番は、仕事の側から確かめるのがおすすめです。いちばん目に見えやすく、手も打ちやすいからです。ただし、心の側のサインが強いときは順番にこだわらず、先に4章を読んでください。

まず5分でできる「ミスの記録」

原因を探す材料として、直近のミスを書き出してみましょう。メモ帳やスマホで十分です。

  • いつ:日付と時間帯(午前か夕方か、週の後半か)
  • 何を:どんな作業で、どんなミスをしたか
  • そのとき:急いでいた、割り込まれた、眠かった、などの状況

3〜5件並べるだけでも、傾向が見えることがあります。「夕方に集中している」なら疲れや睡眠、「新しい担当の作業ばかり」なら仕事の側に手がかりがあります。


仕事の側で変わったこと

業務量や締切が増えていないか

ミスが増えた時期と、仕事が増えた時期が重なっていないかを思い出してください。繁忙期、同僚の退職や休職による引き継ぎ、締切の重なりなどです。

量が増えると、1つの作業にかけられる時間が減ります。確認を省いたり、急いで仕上げたりする場面が増えれば、ミスが増えるのは自然なことです。これは能力の問題ではなく、時間あたりの仕事量の問題です。

新しい担当・異動・上司の変化はなかったか

担当が変わった直後は、慣れた作業でも手順や前提が違うことがあります。前の部署の「当たり前」が通じず、確認すべき箇所を見落としやすくなります。

上司が変わった場合も同じです。報告の仕方や求められる品質の基準が変わり、それに合わせきれずにミスと見なされることがあります。「前はこれで通っていた」と感じるなら、基準が変わった可能性を考えてみてください。

作業の途中で中断されることが増えていないか

チャットの通知、電話、急ぎの依頼。作業の途中で何度も手を止められると、戻ったときにどこまで進めたかが曖昧になります。

席の配置が変わった、チャットのグループが増えた、問い合わせ窓口を任された。こうした変化で中断が増えることもあります。ミスの記録で「割り込まれた」が多いなら、ここに原因があるかもしれません。

その場でできる手当て

仕事の側に原因がありそうなら、次の3つから始めてみてください。

1. 抱えている仕事を全部書き出す

頭の中だけで管理していると、量が増えたときに抜けが出ます。紙でもアプリでもよいので、抱えている仕事を全部書き出します。そのうえで締切順に並べ、今日やるものを3つ程度に絞ります。

2. 間違えやすい箇所だけを確認項目にする

ミスの記録から、繰り返しているミスを拾います。「宛先」「金額の桁」「添付ファイル」など、間違えた箇所だけを短いチェックリストにします。全部を確認しようとすると続きません。

3. 中断されたら「どこまでやったか」を一言メモする

手を止める前に、作業中の資料に「ここまで確認済み」と一言残します。戻ったときの迷いが減り、確認漏れを防ぎやすくなります。集中が必要な作業は、通知を切れる時間帯にまとめるのも手です。

量そのものが多すぎるときは、自分の工夫だけでは限界があります。その場合は5章の「上司への伝え方」を使って、量や優先順位の相談をしてください。


生活の側で変わったこと

睡眠時間が削れていないか

仕事の側に大きな変化が見当たらないなら、生活の側を確かめます。まず見たいのは睡眠です。

参考になるのが、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」です。睡眠不足の影響として、日中の眠気や疲労に加えて「注意力や判断力の低下に関連する作業効率の低下」を挙げています。眠りが足りない状態は、ミスが増える条件の1つになりえます。

同じガイドは、成人の推奨事項として次のように書いています。

適正な睡眠時間には個人差があるが、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保する。

残業や夜ふかしで、ここしばらく6時間を切る日が続いていないか、振り返ってみてください。

なお、ガイドは休日の「寝だめ」についても触れています。平日の日中の眠気は完全には解消できず、メリットは極めて限定的との報告もあるそうです。平日の睡眠時間を確保するほうが先です。

生活リズムや夜の過ごし方は変わっていないか

睡眠時間だけでなく、眠りやすい環境が崩れていないかも見ます。睡眠ガイドが挙げている環境づくりのポイントは、次のようなものです。

  • 日中にできるだけ日光を浴びる
  • 寝室にはスマートフォンやタブレット端末を持ち込まず、できるだけ暗くして寝る
  • 就寝の約1〜2時間前に入浴し、身体を温めてから寝床に入る

カフェインについても、ガイドは摂取の総量を減らし、夕方以降はカフェインを含む食品・飲料を控えることを推奨しています。眠気覚ましに夕方のコーヒーやエナジードリンクが増えているなら、それが夜の眠りを浅くしている可能性もあります。

朝起きるのがつらい状態が続いているなら、朝が起きるのが辛い・仕事に行きたくない原因と対処法も参考にしてください。

寝ても休めた感じがしないとき

ガイドは、睡眠時間だけでなく「睡眠休養感」(睡眠で休養がとれている感覚)を重視しています。時間は足りているのに朝から疲れている、という状態も見逃さないでください。

ガイドの推奨事項は、睡眠の不調や睡眠休養感の低下があるとき、まず生活習慣の改善が重要だとしています。そのうえで、病気が潜んでいる可能性にも留意するよう書いています。生活を整えても眠りの不調が続くときは、医療機関に相談してください。


心のサインかもしれないとき

こんな状態が続いていないか

仕事の側にも生活の側にも大きな変化が見当たらない。あるいは、変化はあったけれど、それ以上に気持ちがしんどい。そういうときは、心の側の状態も確かめます。

たとえば、次のような状態が続いていないかを振り返ってみてください。

  • 気分の落ち込みが何日も続いている
  • 前は楽しめていたことに、興味がわかない
  • 夜眠れない、または朝早く目が覚めてしまう
  • 仕事のことを考えると体調が悪くなる

これらに当てはまるからといって、何かの病気だと決まるわけではありません。この記事で判断することもできません。ただ、こうした状態が続き、仕事や生活に差し支えているなら、一人で抱えずに誰かに相談するタイミングです。

燃え尽きたように感じている人は、20代のバーンアウトのサインもあわせて読んでみてください。

「こころの耳」のセルフチェックで今の状態を見る

厚生労働省の働く人向けポータルサイト「こころの耳」には、自分の状態を確かめるためのセルフチェックがあります。

  • 5分でできる職場のストレスセルフチェック:4つのSTEPの質問に答えると、職場でのストレスレベルを測定できます(所要時間約5分)
  • 3分でできる職場のストレスセルフチェック:より短い版です
  • 疲労蓄積度セルフチェック2023(働く人用):疲れのたまり具合を確かめられます

結果は診断ではありません。ただ、今の自分の状態を言葉にする材料になります。相談するときにも、「セルフチェックでストレスが高いと出た」と伝えれば、話を始めやすくなります。

相談先を知っておく

相談先は、職場の中と外の両方にあります。

  • 職場の中:産業医や保健師がいれば、まず相談できます。人事や信頼できる上司・先輩も選択肢です
  • こころの耳の相談窓口:働く人向けに「こころの耳電話相談」「こころの耳SNS相談」「こころの耳メール相談」が用意されています
  • 医療機関:こころの耳のサイトには、精神科・心療内科などの医療機関を探せるページへの案内もあります
  • かかりつけ医:眠れない・食欲がないなど体の不調が中心なら、まず普段かかっている医師に相談する方法もあります

「死にたい」「消えたい」と感じるほどつらいときは、厚生労働省の「まもろうよ こころ」を開いてください。電話やSNSで相談できる窓口を探せます。

受診や休職を考えるときの目安は、会社に行きたくない20代へで整理しています。休んでいる間のお金については、休職中のお金はどうなる?傷病手当金の条件と金額を参考にしてください。


上司への伝え方|責めずに状況を共有する

伝える前に整理しておくこと

ミスが続くと、上司に言い出しにくくなります。ただ、黙ったまま続くほうが、周りからは「理由が分からない」状態に見えます。

伝える前に、次の3点をメモしておくと話しやすくなります。

  • いつから:ミスが増え始めた時期
  • 何が変わったか:思い当たる変化(担当、量、体調など)
  • どうしたいか:相談したいこと(優先順位、量の調整、手順の確認など)

謝罪を繰り返すより、事実と相談したいことを中心に話すのがコツです。

例文

業務量が増えた時期と重なっている場合

「最近、確認漏れが続いていて申し訳ありません。振り返ると、〇〇の引き継ぎで担当が増えた時期から増えています。今の案件の優先順位を一緒に決めていただけないでしょうか。」

新しい担当で手順に慣れていない場合

「〇〇の作業で同じ箇所を間違えることが続いています。前の担当と手順が違うところがあるようなので、一度確認のポイントを教えていただけますか。チェックリストを作って次から使います。」

体調が関わっていそうな場合

「ここしばらく体調が万全でなく、ミスが増えています。〇〇(産業医・病院など)に相談するつもりです。その間、締切の近い作業から優先して進めてもよいでしょうか。」

体調について、どこまで話すかは自分で決めてかまいません。病名や詳しい事情まで伝える必要はありません。


やりがちだけど逆効果な対処

気合いで乗り切ろうとする

「もっと集中すれば大丈夫」と自分に言い聞かせても、原因が睡眠不足や業務過多なら変わりません。条件が同じままでは、同じミスが起きやすいままです。

確認を闇雲に増やす

不安から何度も見直すと、作業時間が延びて疲れが増します。疲れはさらに注意を散らします。確認は、間違えやすい箇所に絞るほうが効果的です。

黙って残業で取り返す

ミスの手直しを残業で埋めると、睡眠時間が削れます。翌日のミスにつながり、悪循環に入りやすくなります。手直しが続くなら、それ自体を上司に相談する材料にしてください。


よくある質問

前はミスしなかったのに、急にミスが増えたのはなぜですか?

多くの場合、仕事・生活・心のどこかで変化が起きています。業務量や担当の変化、睡眠時間の減少、気分の落ち込みなどです。まず「いつから増えたか」を思い出し、その頃に何が変わったかを3つの側から順に確かめると、原因の見当がつきやすくなります。

急にミスが増えたら、病院に行くべきですか?

ミスが増えたことだけで受診が必要とは限りません。ただ、気分の落ち込みや眠れない状態が続き、仕事や生活に差し支えているときは、一人で抱えずに相談してください。職場の産業医や保健師、かかりつけ医、厚生労働省「こころの耳」の相談窓口などがあります。

急にミスが増えたことを上司に言うと、評価が下がりませんか?

黙ったままミスが続くほうが、信頼への影響は大きくなりがちです。伝えるときは、謝罪より「何が起きていて、どうしたいか」を中心にします。たとえば担当が増えた時期と重なっているなら、その事実を伝えます。そのうえで、優先順位を一緒に決めてほしいと相談する形にすると話しやすくなります。

ミスを減らすために、確認の回数を増やせばいいですか?

確認を闇雲に増やすと、作業時間が延びて疲れが増し、かえって注意が散ることがあります。過去のミスを振り返り、間違えやすい箇所だけを確認項目にした短いチェックリストを作るほうが続けやすいです。原因が睡眠不足や業務過多にあるなら、確認より先にそちらを手当てします。

まとめ

  • 急にミスが増えたときは、能力ではなくミスが起きやすい条件の変化を疑う
  • 仕事(量・担当・中断)、生活(睡眠・リズム)、心(落ち込み・興味の低下)の3つの側から順に確かめる
  • 仕事の側なら、書き出しと絞った確認項目で手当てし、量が多すぎれば上司に相談する
  • 生活の側なら、厚生労働省の睡眠ガイドを目安に、睡眠時間と夜の過ごし方を見直す
  • 心の側のサインが続くなら、セルフチェックで状態を確かめ、職場や「こころの耳」の窓口に相談する

次の一手は1つで十分です。今日、直近のミスを3件書き出して、「いつ・何を・そのとき」を並べてみてください。


出典


著者について

20代の孤独・お金・キャリアの悩みを扱うブログ「20代の悩み(lonely20s)」の編集部。公的機関の統計・法令をもとに、20代の等身大の問いに向き合う記事を書いています。断定や投資推奨は行わず、読者が自分で判断できる情報整理を方針としています。

最終更新日:2026年10月12日

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、医療上の診断や助言ではありません。心身の不調が続くときは、医師や専門の相談窓口にご相談ください。 ※各ページの内容は2026年10月12日時点で公式サイトで確認したものです。最新の情報は各公式サイトをご確認ください。