電気をつけた瞬間、今日はもう誰とも話さないと気づく。一人暮らしの夜は、その静けさが重くのしかかります。

寂しさを重くしているのは「一人で住んでいること」より、「気軽に話せる相手がいないこと」のほうです。 内閣府の調査がそう示しています。

この記事でわかることは3つです。

  • 孤独感の原因を数字で切り分ける見方
  • 夜だけ寂しさが強くなる理由
  • 今夜・今週・今月の手順

20代の孤独感は、どの年代より高い

まず、あなたの感じ方が例外ではないことを数字で確認します。

国は令和3年から毎年「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査」を行っており、令和6年の調査は4回目です。全国の満16歳以上の2万人を無作為に選び、内閣府から調査書類を郵送したうえで、回答はオンラインまたは郵送で受け付けています。有効回答は10,876件でした。

全体では、孤独感が「しばしばある・常にある」と答えた人が4.3%でした。「時々ある」は15.4%、「たまにある」は19.6%です。合計すると約4割が「孤独感がある」と答えています。

20代は「しばしばある・常にある」が7.4%

年齢階級別に見ると、20代の数字は全体平均を大きく上回ります。

年齢階級 しばしばある・常にある 時々ある たまにある
16〜19歳 3.3% 13.4% 14.7%
20〜29歳 7.4% 17.0% 18.8%
30〜39歳 6.0% 18.8% 18.1%
40〜49歳 4.3% 17.1% 20.7%
50〜59歳 5.1% 18.2% 21.5%
60〜69歳 4.4% 12.8% 20.0%
70〜79歳 2.5% 12.0% 18.1%
80歳以上 2.8% 15.1% 20.0%
全体 4.3% 15.4% 19.6%

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「しばしばある・常にある」の割合は、20代がすべての年齢階級の中で最も高くなっています。調査結果でも「20歳代及び30歳代で高くなっている」と書かれています。

「一人暮らし」は、孤独感に影響した出来事の2番目

同じ調査では、現在の孤独感に影響を与えたと思う出来事も聞いています。

ここでの「孤独感が比較的高い人」は、孤独感が「しばしばある・常にある」「時々ある」「たまにある」と答えた人を指します。比べる相手となる「孤独感が低い人」は、孤独感が「決してない」または「ほとんどない」と答えた人です。

孤独感が比較的高い人では、「家族との死別」が24.6%で最も多く、次が「一人暮らし」の18.8%でした。孤独感が低い人で「一人暮らし」を挙げたのは8.6%なので、差は10.2ポイントになります。

つまり、一人暮らしと寂しさの結びつきは、あなたの思い込みではありません。国の調査でも実際に出てきている組み合わせです。

※この章の数値は 内閣府「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和6年)調査結果のポイント」 より


効いているのは「一人で住んでいること」ではない

ここからがこの記事の本題です。同じ調査の別の集計を並べると、見え方が変わります。

孤独感が「しばしばある・常にある」と答えた人の割合を、条件ごとに比べたものが次の表です。

条件 当てはまる 当てはまらない 差
同居人がいる 3.5% 9.0% 5.5ポイント
困った時に頼れる人がいる 2.9% 21.5% 18.6ポイント
ふだん気軽に話せる相手がいる 2.7% 24.5% 21.8ポイント

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同居人がいるかどうかで見た差は5.5ポイントです。一方、気軽に話せる相手がいるかどうかで見た差は21.8ポイントで、4倍近くあります。

この読み替えが、そのまま打ち手になる

この違いは、単なる数字の大小ではありません。やることが変わります。

「一人暮らしだから寂しい」と考えると、打ち手は引っ越しか同居しかありません。どちらもお金と生活の大きな変更を伴い、今夜には手が出せません。

「気軽に話せる相手がいないから寂しい」と考えると、打ち手は連絡を1本出すことから始まります。順番として、こちらのほうがずっと現実的です。

ちなみに、ふだん気軽に話せる相手が「いる」と答えた人は91.6%、「いない」は7.7%でした。いない側は少数派ですが、そこに孤独感が強く集まっています。

ただし、この数字は因果関係ではない

ここは正直に書いておきます。これは同じ時点で取ったクロス集計であって、「話せる相手を作れば孤独感が下がる」と証明したものではありません。

孤独感が強いから人に連絡しにくくなっている、という向きの説明も同じ数字で成り立ちます。実際には、どちらも起きていると考えるのが自然でしょう。

それでも、手を出せるのは連絡のほうだけです。この記事では、動かせるほうから動かす立場を取ります。

※この章の数値は 内閣府「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和6年)調査結果の概要」 より


夜だけ寂しさが強くなる3つの理由

昼間は平気なのに夜がつらい。この落差には理由があります。

① 「話す用事」がある時間が終わっている

日中は、仕事でも買い物でも、話す理由が外から与えられます。夜はそれが尽きます。

つまり夜は、自分から動かないかぎり誰とも関わらない時間帯です。静けさが増えたのではなく、昼間は用事に隠れていた状態が、そのまま出てきただけだと考えると説明がつきます。

② 部屋の静けさが「つながりの薄さ」を見えるようにする

一人暮らしの部屋は、生活音の相手がいません。コンビニも宅配もサブスクも、会話なしで完結します。

便利さは、つながりの薄さを普段は覆い隠します。夜になると、その覆いが外れます。このあたりの感覚は、一人でいることと孤独感は違うでも別の角度から扱っています。

③ 手持ちぶさたでスマホの時間が伸びる

内閣府の調査では、スマートフォンの使用時間別にも孤独感を集計しています。

孤独感が「しばしばある・常にある」と答えた人の割合は、1時間以上2時間未満で2.7%、8時間以上で13.3%でした。ただし、使用時間が長いほど高いという単純な形ではありません。

この数字は「スマホが孤独の原因だ」とは言っていません。 寂しいから見る時間が伸びている、という向きも同じ数字で説明できます。SNSと距離の取り方はSNSを開くたびに孤独になる理由で詳しく書いています。

※この章の数値は 内閣府「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和6年)調査結果の概要」 より


数字が示す目標は「毎日会う」ではなく「ゼロにしない」

何回人と会えばいいのか。ここにも調査の数字があります。

同居していない家族や友人と直接会って話す頻度別に、孤独感が「しばしばある・常にある」人の割合を並べたものが次の表です。

直接会って話す頻度 しばしばある・常にある
週4〜5回以上 1.8%
週2〜3回程度 1.5%
週1回程度 2.9%
2週間に1回程度 3.4%
月1回程度 3.9%
月1回未満 5.2%
全くない 14.5%

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注目してほしいのは、「全くない」だけが突き抜けていることです。

月1回程度でも3.9%で、全体平均の4.3%を下回っています。月1回未満だと5.2%で、平均をやや上回る程度です。ところが「全くない」になると14.5%まで跳ね上がります。

だから目標は「月1回」でいい

この形が意味するのは、頻度を上げるより先にやることがある、ということです。

週に何度も会える人をこれから作るのは大変です。しかし月1回なら、今いる人間関係の中でも成立します。まず狙うのは「ゼロを避ける」一点です。

なお、同居していない家族や友人と直接会って話すことが「全くない」と答えた人は9.3%でした。少数派ではありますが、珍しい状態でもありません。

※この章の数値は 内閣府「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和6年)調査結果の概要」 より


今夜・今週・今月にやること

ここまでの読み取りを手順に落とします。効果を保証するものではなく、負担の小さい順に並べたものです。全部やる必要はありません。

今夜:部屋の状態を1つだけ変える

寂しさを消そうとするのではなく、環境を1つ動かします。

  • 人の声を流す:ラジオやポッドキャストを、内容を聞かなくてもいいのでかけておく
  • スマホを寝る場所から離す:手を伸ばして届かない位置に置く
  • 今日話した人の数を書き留める:自分を責めるためではなく、事実として記録する

3つ目は地味ですが効きます。「なんとなく寂しい」が「今週は3日連続でゼロだった」に変わると、次に何をすればいいかが具体的になるからです。

今週:返す側から、出す側に1回だけ回る

連絡がこない、と感じているとき、たいていお互いがそう思っています。

今週やることは1つだけです。しばらく連絡していない相手に、こちらから1通だけ送る。

このとき「元気?」よりも、「これ見て思い出した」のような送り方のほうが返事は来やすくなります。相手が答える材料が、文の中にあるからです。

返事が来なくても、失敗ではありません。今週の目標は返信をもらうことではなく、ゼロを1にすることです。

今月:職場以外に「予定のある場所」を1つ作る

月1回でいい、という話をそのまま実行に移します。

  • 習い事、ジムのクラス、勉強会、読書会
  • 地域のボランティア、社会人サークル
  • 実家や友人への訪問を、月1回の予定として先にカレンダーに入れる

条件は「職場以外」であることです。職場だけに人間関係が集中していると、異動や転職でまとめて消えます。土台が1本しかない状態は、それ自体がリスクです。

この調査には、社会活動への参加状況別の集計もあります。孤独感が「しばしばある・常にある」割合は、いずれかの活動に参加している人で2.9%でした。特に参加はしていない人では5.6%です。

なお「特に参加はしていない」と答えた人は50.6%で、多数派です。今から始めるのが遅いということはありません。

引っ越しで知り合いがいない土地にいる人は、知り合いゼロで上京・引越し後の孤独のほうが具体的です。

半年:「友達を作る」を目標から外す

最後に、目標の立て方を変えます。

「友達を作る」は、達成の基準があいまいで続きません。代わりに置くのは、気軽に話せる相手を1人増やすです。

調査で孤独感の差が大きかったのは、友人の人数ではなく「気軽に話せる相手がいるか」でした。目標を数字の差が大きいほうへ寄せるだけで、やることは軽くなります。

人との距離感そのものに悩んでいる場合は、大人になっても友達の作り方が参考になります。人に囲まれているのに孤独な20代後半もあわせてどうぞ。

※この章の数値は 内閣府「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和6年)調査結果の概要」 より


つらさが続くときの相談先

気持ちの問題として一人で抱え込まないための窓口を挙げておきます。どちらも公的なものです。

  • 内閣府「あなたはひとりじゃない」:いくつかの質問に答えると、チャットボットが状況に合った支援を探してくれます
  • 厚生労働省「まもろうよ こころ」:電話とSNSの相談窓口が一覧になっています。「こころの健康相談統一ダイヤル」「よりそいホットライン」などが掲載されています

眠れない日が続く、食欲がない、朝起き上がれない。こうした状態が2週間以上続くときは、気持ちの持ちようの話として片づけないでください。医療機関や自治体の相談窓口に相談することをおすすめします。


よくある質問

一人暮らしだと孤独になりやすいというのは本当ですか?

内閣府の令和6年の全国調査を見ます。孤独感が「しばしばある・常にある」と答えた人の割合は、同居人がいる人で3.5%、いない人で9.0%でした。差はありますが、これは同じ時点の集計であって因果関係を示すものではありません。同じ調査で「気軽に話せる相手がいない」人は24.5%と、差はこちらのほうがずっと大きくなっています。

なぜ夜だけ寂しさが強くなるのですか?

夜は用事としての会話が終わる時間帯だからです。仕事や買い物のように「話す理由」がある時間が過ぎると、自分から動かないかぎり人と関わらない状態になります。静けさそのものが増えるわけではありません。昼間は用事に隠れていたつながりの薄さが、そのまま見えるようになるだけです。

週に何回くらい人と会えば孤独感は軽くなりますか?

回数を増やすより「ゼロを避ける」ほうが先です。内閣府の調査では、同居していない家族や友人と直接会って話す頻度別の集計があります。孤独感が「しばしばある・常にある」人の割合は、月1回程度で3.9%、月1回未満で5.2%でした。ところが「全くない」だけは14.5%と突出しています。毎日会う必要はありません。

友達を作らないと一人暮らしの寂しさは消えませんか?

「友達を作る」を目標にすると達成しにくく、続きません。調査で孤独感の差が大きかったのは、友人の人数ではなく「ふだん気軽に話せる相手がいるか」でした。深い関係を新しく作るより、すでに知っている人との接点をゼロにしないほうが、現実的で負担も小さい進め方です。

寂しさがつらくて動けないとき、どこに相談できますか?

内閣府の「あなたはひとりじゃない」では、いくつかの質問に答えるとチャットボットが状況に合った支援を探してくれます。厚生労働省の「まもろうよ こころ」には、電話とSNSの相談窓口が一覧でまとまっています。眠れない・食べられない状態が続くときは、医療機関に相談してください。

まとめ

  • 20代で孤独感が「しばしばある・常にある」人は7.4%で、全年齢階級の中で最も高い
  • 「一人暮らし」は、孤独感に影響した出来事の2番目に多く挙げられている
  • ただし差が大きいのは住まいではない。同居人の有無による差が5.5ポイントなのに対し、気軽に話せる相手の有無による差は21.8ポイント
  • これはクロス集計であり因果関係ではない。それでも、動かせるのは連絡のほう
  • 直接会って話す頻度は「全くない」だけが14.5%と突出する。月1回程度なら全体平均を下回る
  • 目標は「毎日会う」ではなく「ゼロにしない」。今夜は環境を1つ変え、今週は連絡を1本出し、今月は職場以外の予定を1つ入れる

寂しさは、性格の弱さでも努力不足でもありません。話す相手がいない時間が続けば、誰でも同じように感じます。今夜できるのは、部屋の状態を1つ変えることだけで十分です。


参考


著者について

20代の孤独・お金・キャリアの悩みを扱うブログ「20代の悩み(lonely20s)」の編集部。公的機関の統計・法令をもとに、20代の等身大の問いに向き合う記事を書いています。断定や過度な一般化は行わず、読者が自分で判断できる情報整理を方針としています。

最終更新日:2026年9月23日

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、医学的な診断や治療に関する助言ではありません。 ※引用した調査の数値は令和6年12月1日時点のもので、集計は同じ時点の関連を示すものです。因果関係を示すものではありません。 ※心身の不調が続く場合は、医療機関や自治体の相談窓口にご相談ください。