「20代の貯金の平均・中央値はいくらか知りたい」——そんな疑問で検索した人に、この記事はまず公的統計の数字の読み方から整理します。単に「平均◯◯万円」という数字を並べるのではなく、なぜ平均と中央値がズレるのか、年齢・手取り別にどう考えればいいのかまで、順を追って説明します。
この記事でわかること:
- 20代の貯金の平均と中央値の違い(なぜ中央値を見るべきか)
- 信頼できる出典の種類と特徴(どの統計を参照すべきか)
- 年齢別(20〜24歳 / 25〜29歳)の目安と背景
- 手取り別の月額貯金目安(一覧表)
- 貯金ゼロ世帯の実態と、ゼロからの最初の一歩
なお、ここで挙げる数値はあくまで執筆時点の参考値であり、調査年や対象によって差があることをあらかじめ断っておきます。
結論から:20代の貯金の平均と中央値、どちらを見るべきか
20代の貯金額を自分の現在地と比べるときは、平均ではなく中央値を使うほうが実態に近いです。平均は一部の高額貯蓄者に引き上げられやすく、「みんながどのくらい持っているか」の感覚とズレやすいからです。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」など、複数の公的統計でも20代は平均より中央値が大きく低くなる傾向があります。「平均は高く感じる」と思った場合、それはデータの構造上の特性によるものです。
まず押さえたい:平均と中央値はまったく別の数字
20代の貯金額を語るうえで、最初に理解しておきたいのが「平均」と「中央値」の違いです。ここを混同すると、数字に必要以上に焦らされてしまいます。
- 平均値:全員の貯金額を足して人数で割った数字
- 中央値:全員を貯金額の少ない順に並べたとき、ちょうど真ん中に来る人の数字
なぜこの2つが大きくズレるのか。お金のデータは「少数の大きく貯めている人」がいると、平均がぐっと引き上げられるからです。
たとえば10人のうち9人が貯金30万円で、1人だけ1,000万円持っていたとします。平均は約127万円になりますが、現実の9人にとって「平均127万円」という数字は実感とまったく合いません。この10人の中央値は30万円で、こちらのほうが「普通の人の感覚」に近いです。
20代の貯金データはまさにこの構造になりやすいです。一部に親からの援助や高収入で大きく貯めている人がいると、平均が引き上げられます。だから「自分の位置」を知りたいなら、見るべきは平均ではなく中央値だと覚えておくとよいです。
公的な家計調査でも、20代は平均より中央値がかなり低く出る傾向があります。平均を見て焦っていた人ほど、中央値を知ると「思ったより普通だった」と感じることが多いです。
公的統計はどこを見ればいい?(出典の種類と特徴)
「平均◯◯万円」という数字は、出どころによって幅があります。信頼性を判断するために、どんな種類の統計があるかを知っておくと役に立ちます。
20代の貯金額を扱う代表的な公的・準公的調査には、次のようなものがあります。
| 調査の種類 | 主な実施主体 | 特徴 |
|---|---|---|
| 家計の金融行動に関する世論調査 | 金融広報中央委員会(知るぽると) | 年代別・単身/二人以上世帯別に金融資産額や「保有なし」割合を公表。中央値も載る |
| 家計調査・全国家計構造調査 | 総務省統計局 | 貯蓄・負債を含む家計全体を詳細に把握できる大規模調査 |
| 民間アンケート調査 | 各金融機関・調査会社 | 速報性はあるが、対象や設問の作り方で数字がブレやすい |
このうち、年代別の「中央値」や「金融資産を持たない世帯の割合」まで載っているのが、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」です。20代の貯金額を語るときに最もよく引用されるのはこの調査で、本記事の目安もこの種の公的調査を念頭に置いています。
ここで大事なのは、どの調査も「いつ・誰を対象に・どう聞いたか」で数字が変わるということです。同じ「20代の平均貯金額」でも、調査によって数十万円単位で差が出ることは珍しくありません。だから特定の1つの数字を「正解」と思い込まず、「だいたいこのくらいの幅」という捉え方をするのが安全です。
年齢別の目安:20〜24歳と25〜29歳でこれだけ違う
「20代」とひとくくりにされがちですが、前半と後半では事情がかなり違います。社会人歴が浅い20〜24歳と、数年働いた25〜29歳では、貯められる前提条件そのものが変わるからです。
20〜24歳:そもそも貯めにくい時期
この年代は新卒前後で、働き始めて間もない人が多いです。手取りが低く、引っ越し・家具・スーツなど初期費用もかさみます。学生も含まれる場合があります。
各種調査では、20代前半の貯金額の中央値は数万円〜数十万円程度にとどまることが多いとされています。平均はもう少し高く出ますが、これは前述のとおり一部の貯めている人に引き上げられている影響が大きいです。
この時期に貯金が少ないのは、ほぼ「普通」です。むしろ、ここで「先取りで毎月少額を積む」習慣だけ作っておけば、後半で大きく差がつきます。
25〜29歳:差が開き始める時期
働いて数年が経ち、昇給やボーナスで手取りが増える人が出てきます。一方で、一人暮らし・結婚・引っ越しなどで支出が増える人も多く、貯金額の個人差が一気に開くのがこの年代の特徴です。
各種調査では、20代後半の貯金額の中央値はおおむね数十万円〜100万円台に収まることが多いとされています。ただしこれも調査によって幅があり、「実家暮らしで固定費が低い人」と「都市部で一人暮らしの人」では前提がまるで違います。
つまり、25〜29歳の「普通」を一つの数字で示すのは本来むずかしいです。他人の中央値より、自分の手取りと生活コストから逆算した目標を持つほうが現実的です。
なぜ貯金額に差がつくのか、その心理的・構造的な要因については「20代で貯金できない本当の理由と今すぐ変えられる仕組み」で詳しく掘り下げています。
平均・中央値と実態のズレ:一覧で比べると見えること
20代の貯金の平均と中央値を比べると、数字の「歪み」が一目でわかります。以下は各種公的調査で見られる傾向を整理したものです(具体的な数値は調査・年度によって変動します)。
| 年代 | 平均のイメージ | 中央値のイメージ | ポイント |
|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | やや高め(一部の高額保有者に引き上げられる) | 数万円〜数十万円台 | 平均と中央値の乖離が大きい |
| 25〜29歳 | さらに高め | 数十万円〜100万円台 | 個人差が拡大、一人暮らし/実家で大きく変わる |
| 単身世帯 | 世帯平均より低め | 二人以上世帯の中央値より低い傾向 | 支出が多いほど貯まりにくい |
| 二人以上世帯 | 単身より高い傾向 | 共働き等の条件で変動 | 世帯収入の合計が効く |
※ 数値は調査・年度によって変動します。特定の数字を断定値として扱わないでください。
この表から読み取れるポイントは2つです。
1つは、平均と中央値の乖離が若い年代ほど大きいこと。20〜24歳は特に、平均を正面から受け取ると「自分が遅れている」と感じやすい構造になっています。
もう1つは、単身か二人以上世帯かで比較の土台が変わること。公的調査の多くは単身世帯と二人以上世帯を分けて集計しています。自分の状況と合う方の数字を参照することが大切です。
手取り別の目安:自分の収入から逆算する
「平均はいくら」より、ずっと役に立つのが手取りからの逆算です。貯金額の絶対値は人によって意味が違いますが、「手取りの何%を貯められているか」は、誰にとっても自分の現在地を測る共通のものさしになります。
一般に、20代の貯金ペースの目安として「手取りの10〜20%」がよく挙げられます。この数値は、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」や各種FP(ファイナンシャルプランナー)向け教材で参照される経験則であり、「少なくとも10%は先取りで確保し、余裕があれば20%を目指す」という考え方が広く共有されています。これを手取り別に月額・年額へ落とすと、次のようになります。
| 月の手取り | 貯金率10%(控えめ) | 貯金率15%(標準的) | 貯金率20%(やや積極的) |
|---|---|---|---|
| 16万円 | 月1.6万 / 年約19万 | 月2.4万 / 年約29万 | 月3.2万 / 年約38万 |
| 20万円 | 月2.0万 / 年24万 | 月3.0万 / 年36万 | 月4.0万 / 年48万 |
| 25万円 | 月2.5万 / 年30万 | 月3.75万 / 年45万 | 月5.0万 / 年60万 |
※あくまで目安。ボーナスや臨時収入は含めていないため、実際にはもう少し上振れする人も多いです。
この表のポイントは2つあります。
1つは、手取りが低くても貯金率10%なら無理なく狙えることが多いということ。手取り16万円でも、月1.6万円なら固定費の見直しで捻出できるケースは少なくないです。
もう1つは、いきなり20%を目指さなくていいということ。続かない20%より、続く10%のほうが、1年後にはずっと貯まっています。最初は10%で「自動で引かれる仕組み」を作り、慣れたら少しずつ上げるのが現実的です。
このブログでは20代の読者から「いくら貯めれば安心か」という相談を多く受けます。共通して気づくのは、「貯金額の絶対値」より「先取りの仕組みを作るタイミング」が、1〜2年後の残高を決めるという点です。「月3万円できてから始める」と言っている人ほど、仕組みを作らないまま支出が増えがちです。金額より先に「自動で移す口座」を作ることが先決だと感じています。
この「無理なく続く額から始める」具体的な手順は、「20代の先取り貯金のやり方——意志に頼らず毎月確実に貯まる仕組みの作り方」にステップでまとめてあります。
貯金ゼロの20代は珍しくない
平均や中央値の話をすると、もう一つ気になるのが「貯金がまったくない人ってどのくらいいるの?」という点でしょう。
結論から言うと、20代で金融資産を持たない(いわゆる貯金ゼロ)世帯は、一定の割合で存在し、決して珍しくないことが各種の公的調査で示されています。年代別で見ると、20代は他の年代と比べても「保有なし」の割合が高めに出る傾向があります。
これは社会人歴が浅く、収入が低く、初期費用がかさむという20代の構造を考えれば自然なことです。割合そのものは調査・年によって変動するため、本記事では具体的な%を断定しません。重要なのは、「貯金ゼロ=自分だけが異常」ではないという事実のほうです。
ただし、「珍しくない」ことと「このままでいい」ことは別の話でもあります。貯金ゼロの状態は、急な出費(病気・退職・引っ越しなど)にまったく耐えられないという弱さを抱えています。
だからこそ、まず目指すべきは「平均に追いつくこと」ではなく、「ゼロから少しのバッファを作ること」です。最初の一歩としての考え方は「「貯金がない20代」が最初にすべきこと——緊急予備費から始めるお金の基礎」に詳しいです。
20代でいくら貯めるべき? 目安の考え方
ここまで読んで、「で、結局いくら貯めればいいの?」と思った人へ。残念ながら万人共通の正解額はありませんが、判断の軸は提示できます。
他人の平均・中央値を目標にするより、次の順番で考えるほうが、焦らず・崩れにくいです。
ステップ1:まず「緊急予備費」を基準にする
最初の目標は、社会の平均ではなく生活費の3〜6ヶ月分です。これは「緊急予備費」と呼ばれ、失業・病気・引っ越しなど予測できない出来事に耐えるためのクッションになります。
毎月の生活費が18万円なら、目標は54万〜108万円です。20代の中央値と照らすと、20代のうちにこのラインに届けば十分すぎるくらいだと分かります。
ステップ2:緊急予備費を超えたら次の設計へ
緊急予備費が貯まったら、それ以降は「投資(NISA等)に回す」「使ってもいい余剰枠を作る」など、設計を進化させていけます。投資の入り口については「20代から始めるNISA入門——少額・ほったらかしで続ける考え方」を参照してください。
ステップ3:金額より「率」と「継続」で測る
20代の段階では、貯金の絶対額より「手取りの何%を継続して貯められているか」のほうが本質的です。額は収入が上がれば自然に増えます。20代で身につけるべきは「貯まる仕組み」そのものであって、特定の金額への到達ではないです。
なお、具体的な目標額は家計・家族構成・地域で大きく変わります。判断に迷う場合は、ファイナンシャルプランナーや自治体・公的機関の無料相談窓口を利用するのも選択肢の一つです。
無理なく貯めるための基本
最後に、貯金額の数字を追う前に押さえておきたい「貯まる人がやっていること」を、基本だけ整理しておきます。
1. 先取りにする 「使った残りを貯める」ではなく「先に貯めて残りで生活する」。これだけで月末の貯金額がギャンブルでなくなります。給料日翌日に別口座へ自動振替する設定を一度するだけでいいです。
2. 口座を分ける 生活費の口座と貯金用の口座を分けると、貯金が「使えるお金」に見えなくなります。視界から外すと手が伸びにくいです。
3. 固定費から見直す 節約は「毎日がんばる」より「一度減らせば毎月効く」固定費(サブスク・通信費・保険)から。日々の我慢より疲れにくいです。
4. 他人の平均で焦らない 平均はあなたの実感とズレやすい数字です。比べるなら過去の自分の残高と。先月より少しでも増えていれば、それは前進です。
お金の不安そのものとの付き合い方については「20代のお金の不安はなぜ消えない? 正体を見極めて向き合う方法」でも触れています。数字より、まず「漠然とした不安の正体」を見ておくと、貯金へのモチベーションが整理されるかもしれません。
よくある質問
Q. 20代の貯金額の平均と中央値はどちらを参考にすべきですか?
実感に近いのは中央値です。平均は一部の大きく貯めている人に引き上げられるため、「みんなこれくらい持っている」という感覚とはズレやすいからです。多くの公的統計でも20代は平均より中央値がかなり低く出ます。自分の位置を測るときは中央値、社会全体の分布を見るときは平均、と使い分けると誤解しにくいです。
Q. 20代後半(25〜29歳)はいくら貯金していれば普通ですか?
「普通」を一つの数字で言い切るのは難しいですが、各種の家計調査では20代後半の中央値は数十万円〜100万円台に収まることが多いとされています。ただし手取り・実家暮らしか一人暮らしか・地域で大きく変わります。他人の数字より、まず「生活費の3〜6ヶ月分」という緊急予備費を自分の基準に置くほうが、焦りにくく現実的です。
Q. 貯金ゼロの20代はどのくらいいますか?
調査・年によって差はありますが、20代では金融資産を持たない(いわゆる貯金ゼロ)世帯が一定割合で存在し、決して珍しくないことが各種統計で示されています。割合は調査ごとに変動するため固定値として捉えず、「ゼロは異常ではない」という前提で、まずは少額の積み立てから始めれば十分です。
Q. 20代の貯金の平均・中央値はどの統計が信頼できますか?
金融広報中央委員会(知るぽると)が毎年公表する「家計の金融行動に関する世論調査」が、20代の中央値・「保有なし」割合まで載る代表的な公的統計です。総務省の家計調査も大規模な調査ですが、調査対象・設問の違いで数字に幅が出ます。民間アンケートは速報性がある反面、対象のバイアスで数字がブレやすいため、参考程度にとどめましょう。
まとめ
- 20代の貯金額は「平均」より「中央値」を見る。平均は一部の人に引き上げられて実感とズレやすい
- 「平均◯◯万円」は調査・年で幅があるため、特定の1つの数字を正解と思い込まない(出典の代表=金融広報中央委員会の調査など)
- 20〜24歳は貯めにくくて当然。25〜29歳で個人差が一気に開く
- 単身世帯か二人以上世帯かでも数字が変わる。自分の状況に合う分類を参照する
- 目安は「手取りの10〜20%」。低い手取りでも10%なら狙いやすく、いきなり20%を目指さなくていい
- 貯金ゼロの20代は珍しくない。「ゼロ=異常」ではないが、少額のバッファ作りは早いほどいい
- いくら貯めるかは他人の平均より「緊急予備費(生活費の3〜6ヶ月分)」を自分の基準にする
平均や中央値は、自分を裁くための数字ではなく、現在地を冷静に測るための地図にすぎません。比べる相手は他人ではなく、先月の自分の残高でいいです。
著者について
20代の孤独・お金・キャリアの悩みを扱うブログ「20代の悩み(lonely20s)」の編集部。公的機関の統計・調査をもとに、20代が抱える等身大の問いに向き合う記事を書いています。金融記事は断定や投資推奨は行わず、読者が自分で判断できる情報整理を方針としています。判断に迷う場合は、ファイナンシャルプランナーや自治体の無料相談窓口のご利用をお勧めします。
最終更新日:2026年6月16日