「また飲もう」が実現しなくなる年齢
LINEのやりとりが途絶えた友人のことを、突然思い出す瞬間がある。
ふとしたことがきっかけで——昔よく行ったカフェの前を通ったとき、昔の写真がスマホのアルバムに表示されたとき。「そういえば、あの人と最後に会ったのいつだろう」と気づいて、調べてみたら一年以上前だった。
嫌いになったわけじゃない。ケンカもしていない。ただ、自然に遠くなっていた。
20代後半になると、こういう「自然な疎遠」が増えてくる。それは失敗でも冷たさでもなく、ただの変化だ。でもその変化の中に、なんとも言えない寂しさがある。
20代後半に友達と疎遠になる3つの原因
① 「偶然集まれる場所」がなくなる
学生時代の友人関係が続いていたのは、共通の「場所」があったからだ。同じ授業、同じ部活、同じバイト先。努力しなくても顔を合わせる機会があった。
社会人になると、その「場所」がなくなる。会うためには、お互いが意識的に予定を合わせなければならない。平日は仕事で疲れる。休日は休みたい。予定を合わせると2〜3週間先になる。そのうち「まあいいか」になる。
悪意は一切ない。でも、構造的に疎遠になりやすくなる。
② 生活のステージがズレ始める
20代前半は、みんな同じようなステージにいた。就活、入社、初めての一人暮らし。悩みを共有できる共通点が多かった。
でも25歳を過ぎた頃から、ステージが分かれ始める。結婚した人、転職した人、子どもができた人、大学院に戻った人。それぞれの生活が変わっていくと、共有できる話題も変わっていく。
悪いことじゃない。でも、以前は当たり前に通じた感覚が、少しずつすれ違うようになる。
③ 「全部さらけ出せる関係」が維持しにくくなる
学生時代は、夜中まで話せた。将来の不安も、誰かへの愚痴も、恥ずかしい気持ちも、全部話せた。
でも大人になると、その関係が維持しにくくなる。お互いに立場ができる。「こんなこと言ったらどう思われるか」と考えるようになる。表面的な会話は増えるのに、深い話が減っていく。
友人が「いる」のに、どこか孤独を感じる理由のひとつは、ここにある。
「疎遠になること」への罪悪感を手放す
疎遠になっていく友人のことを思うとき、罪悪感を感じることがある。
「なんで連絡しなかったんだろう」「私が冷たかったのかな」——でも、その罪悪感は多くの場合、的外れだ。
疎遠になるのは、どちらかが悪いからではなく、両方の生活が変わっていったからだ。相手も同じように「連絡しなきゃと思っているけど、なんとなく時間が経ってしまった」と感じているかもしれない。
罪悪感を持ち続けても、関係は変わらない。大切な人に連絡を入れる、という行動だけが変える。
友達と疎遠にならないための現実的な方法3つ
誕生日を起点にする
毎日連絡しなくていい。毎月会わなくていい。でも誕生日だけは、短いメッセージを送る。「おめでとう、元気にしてる?」の一言でいい。
これだけで、「消えていない関係」が続く。返信から会う約束に発展することも少なくない。
「また今度」を具体的な日付に変える
「また今度ね」で終わらせると、「今度」は来ない。「また今度」と言ったとき、その場で「来月の第二土曜はどう?」に変えてみる。
具体的な日付が決まると、実現の確率が劇的に上がる。
「今更感」を手放す
少し時間が経つと「今更連絡するのも変かな」という感覚が出てくる。でもそれは、ほぼ自分の思い込みだ。
久しぶりに連絡がきて嫌な気持ちになる人は、ほとんどいない。多くの場合、相手も「連絡したかった」と思っている。「今更感」に負けて動かないのは、もったいない。
なお、引っ越しや転勤で友人と物理的に離れた場合の維持方法については、遠くに住む友人との関係を続けるためにで詳しく紹介している。
よくある質問
Q. 20代後半で友達と疎遠になるのは普通のことですか?
とても自然なことです。学生時代のように「偶然集まれる場所」がなくなり、結婚・転職・育児などで生活ステージがズレ始めるため、意識的に連絡を取らないと関係は薄れていきます。あなたが冷たくなったわけでも、相手に嫌われたわけでもなく、構造的に起きる変化です。
Q. 疎遠になった友達に今さら連絡してもいいのでしょうか?
ほとんどの場合、連絡しても問題ありません。「今さら感」は自分側の思い込みであることが多く、久しぶりに連絡をもらって嫌な気持ちになる人はほぼいません。誕生日や年末など、何かの節目を口実に短いメッセージを送るだけで、関係は十分に再開できます。
Q. 全員と関係を維持しようとして疲れます。どう整理すればいいですか?
全員と深い関係を維持するのは現実的に不可能です。20代後半は「広く浅く」から「狭く深く」へ人間関係を移行する時期と考えてください。本当に大切にしたい数人を見極め、その人たちに時間とエネルギーを集中させる方が、長期的には満たされる関係を保てます。
Q. 友達と疎遠にならないためにできることはありますか?
完全に防ぐのは難しいですが、「誕生日だけは必ずメッセージを送る」「会う約束をその場で日付まで決める」という2つの習慣だけで、関係が途切れにくくなります。定期的な連絡より、節目に確実に動く方が長続きしやすいとされています。
人間関係が変わることを、失敗と思わなくていい
友人との関係が変わっていくことは、誰かが悪いわけでも、関係が壊れたわけでもない。
ステージが変われば、重なる時間も変わる。それは自然なことだ。
大事なのは、全員と深い関係を維持しようとすることじゃなく、本当に大切にしたい人を見極めて、その人たちに少しだけ時間とエネルギーを向けることだ。今ある関係を続けるのと並行して、これから新しいつながりを増やしたいなら、大人になってから友達を作る方法も合わせて参考にしてほしい。
疎遠になった関係を全部取り戻そうとしなくていい。でも、「この人とはちゃんと続けたい」と思う人がいるなら、今日、一通のメッセージを送ってみるだけでいい。
また、20代後半の孤独感全般については20代後半の孤独感——「つながっているのになぜか寂しい」の正体も合わせて読んでみてほしい。
今年まだ連絡していない友人のことを、少し思い浮かべてみてほしい。その人への「おめでとう」か「元気にしてる?」は、送れそうだろうか。