「もう成長していない気がする」——20代のキャリア停滞感
最初の1〜2年は、毎日新しいことを学んでいる感覚があった。できることが増えていく手ごたえがあった。
でも最近は、「また同じことをやっている」という感覚が続く。仕事は一通りこなせる。でも「成長しているかどうか」がよくわからない。
この「踊り場にいる感覚」は、多くのキャリアで3〜4年目以降に訪れる。20代でこの感覚を経験している人は少なくない。
キャリアの踊り場はなぜ起きるのか
「成長のスピード」が変わるから
最初の1〜2年は、「0→1」の学習が多い。何もできない状態から「一通りできる」状態になる変化は大きく、感じやすい。
でも「1→2」「2→3」の成長は、「0→1」より変化が感じにくい。実際には成長しているが、自覚しにくい。
「成長の停滞」ではなく、「成長の可視性が下がった」状態だといえる。
「業務の習熟」と「スキルの成長」が分離するから
仕事に慣れることと、スキルが伸びることは別だ。
「今の業務を速く正確にこなせるようになること」は習熟だ。一方でスキルの成長は、新しい課題や環境の変化によって促される。
同じ仕事を同じやり方で続けているだけでは、習熟は進むがスキルの成長は鈍化する。これが「踊り場」の正体のひとつだ。
「成長の基準」が変わっていないから
入社当初の「できること・知ること」が成長の基準になったまま、数年が経過していることがある。
今の自分に合った、より高い基準で見直すと「まだ成長できていない領域」が見えてくる。視点をアップデートすることが踊り場を抜け出す第一歩になる。
踊り場を抜けるための3つのアプローチ
① 「少し難しい仕事」を意識的に引き受ける
今の自分より少し難しいこと——完全にできるかどうかわからない仕事——に取り組むことが、成長を再び促す。
「できること」だけをこなしていると、習熟するが成長しない。「少しだけできるかどうかわからない」領域に踏み出すことが、次の成長へのきっかけになる。
社内プロジェクトへの参加、新しい分野の担当への異動希望、副業やボランティアでの経験——「少し難しい挑戦」を意識的に作ることが重要だ。
② スキルの「深さ」を変える
幅広くそこそこできるより、一つのことを深く掘り下げる方が、自覚できる成長がある。
今の仕事の中で「これをさらに深く学ぶ」というテーマを決めて、集中的に取り組む。専門書を読む、業界のイベントに参加する、詳しい人に話を聞く——深さを作ることで、成長の手ごたえが生まれやすい。
「キャリアアップ」という言葉は広いが、その実態は多くの場合「何かの専門性を深めること」だ。
③ 「以前の自分と比較する」視点を持つ
成長の停滞を感じるとき、「周りの誰かと比べている」ことが多い。
代わりに、半年前・1年前の自分と比べてみる。以前できなかったことが今はできる。以前知らなかったことを今は知っている。以前は時間がかかっていたことが今は速くできる。
「他人との比較」では見えないが、「過去の自分との比較」では確実に変化が見えることがある。
踊り場と転職——「成長できないから転職」は正解か
踊り場の感覚があるとき、「転職すべきか」と考えることがある。
でも「成長が感じられないから転職する」という動機だけでは、次の職場でも同じ踊り場が来たとき、また転職したくなる。キャリアの踊り場は環境を変えるだけでは解消しないことも多い。
判断のポイントは「この仕事・この環境に、自分が成長できる余地はあるか」だ。余地があるなら踊り場に取り組む価値がある。余地がないと判断できるなら、転職の検討に入る根拠になる。
転職を迷っている場合は、仕事は嫌じゃないけど満足もできない、という状態も読んでみると、自分の状態を整理しやすくなるかもしれない。
踊り場でも「続けること」が持つ価値
踊り場は、次のステージへの準備期間でもある。
急成長期が終わることで、今まで蓄積してきたスキルや経験を「使いこなす力」が磨かれる時期でもある。目に見える成長がなくても、次の成長の土台を作っている段階だと捉えることができる。
成長が見えなくなる時期は、必ずある。でも成長は常に直線的じゃない。踊り場の時期を、次のステップの仕込みに使えるかどうかが、その後のキャリアを変える。
よくある質問
Q. キャリアの踊り場はいつ頃に来ますか?
入社3〜4年目以降に感じるケースが多いです。「0→1」の急成長期が終わり、業務の習熟とスキルの成長が分離し始める時期に重なります。ただし個人差があり、職種や環境によって異なります。
Q. 踊り場を感じたら転職すべきですか?
踊り場の感覚だけを理由にした転職は、次の職場でも同じ壁にぶつかりやすいです。「この環境に成長の余地があるか」を先に判断してから転職を検討するほうが、後悔しにくいです。転職先でも3〜4年後に同じ感覚が来ることを念頭に置いておくと判断しやすくなります。
Q. 成長を実感できない時期にモチベーションを保つには?
他人との比較ではなく、半年前・1年前の自分と比べる視点が有効です。できるようになったこと・知っていることの変化を書き出すと、見えていなかった成長が可視化されます。また、評価や昇進ではなく「学んでいること自体」に軸足を移すと停滞感が和らぐことがあります。
Q. 踊り場から抜け出すのにどのくらいかかりますか?
個人差が大きく、一般的な期間は示せません。ただし「少し難しい仕事を引き受ける」「専門性を深める」など意識的な行動を取ることで、停滞期を短くできるとされています。何もしなければ、停滞感だけが長引く可能性があります。